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きゅうり栽培にマルチシートは必要?使い方とコツを解説

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きゅうり栽培にマルチシートは必要?使い方とコツを解説

家庭菜園で人気のきゅうり栽培を始めるにあたり、「きゅうりの栽培にマルチシートは本当に必要なのだろうか?」と疑問に思っていませんか。

畑でよく見かける黒いシートですが、畑でマルチシートを使うのはなぜなのか、その具体的な効果や、逆にマルチングの欠点は何ですかという点も気になるところです。

また、マルチングをした後の水やりはどうすれば良いのか、プランターでも使えるのかといった実践的な使い方から、適切な畝高や畝幅、きゅうりの種まき時期についても知りたい方が多いでしょう。

種から育てるのは難しいのか、苗を保護するあんどんはいつまで設置すれば良いのかなど、初心者が抱える様々な疑問にこの記事で詳しくお答えします。

この記事でわかること

  • マルチシートの具体的なメリットとデメリット
  • きゅうり栽培におけるマルチシートの正しい使い方
  • 畑やプランターでの具体的な栽培手順と管理方法
  • 初心者がつまずきやすいポイントとその対策

きゅうりのマルチシート利用の基本と効果

  • キュウリにマルチは必要ですか?
  • 畑でマルチシートを使うのはなぜ?
  • マルチングの欠点は何ですか?
  • マルチング後の水やりはどうする?
  • プランター栽培でのマルチング

 

キュウリにマルチは必要ですか?

キュウリにマルチは必要ですか?

結論から言うと、きゅうり栽培においてマルチシートは必須ではありませんが、使用することで得られるメリットが非常に大きいため、特に家庭菜園初心者の方には利用を強くおすすめします。

マルチシートを使わなくてもきゅうりを育てることは可能ですが、利用することで栽培の手間を大幅に減らし、収穫量を増やす効果が期待できます。

例えば、雑草の発生を抑制できるため、草むしりの手間が省けます。また、土壌の水分を適度に保ち、乾燥や過湿を防ぐ効果もあります。

さらに、泥はねを防いで病気の発生リスクを低減させるなど、様々な恩恵を受けられるのが特徴です。

このように、マルチシートはきゅうりが育ちやすい環境を整え、管理を楽にしてくれる便利な資材と言えるでしょう。

畑でマルチシートを使うのはなぜ?

畑でマルチシートを使うのはなぜ?

畑でマルチシートが広く利用されるのは、栽培環境を安定させ、作物の生育を助ける多様な効果があるからです。きゅうり栽培における主なメリットは以下の通りです。

雑草の抑制

マルチシートが土の表面を覆うことで、太陽光が遮断されます。

これにより、雑草の種子が発芽・成長するのを防ぎ、面倒な草取り作業を大幅に軽減できます。

雑草に奪われるはずだった養分がきゅうりに集中するため、健全な生育にも繋がります。

土壌水分の保持

土の表面からの水分蒸発を防ぐ効果があります。

特に乾燥しやすい夏場には、水やりの回数を減らしながらも土の湿度を適切に保つことができます。

これにより、きゅうりの実が曲がってしまう原因の一つである水不足を防ぎやすくなります。

地温の調整

マルチシートの色によって地温をコントロールできます。

黒マルチは光を吸収して地温を上げる効果があるため、春先の植え付け時に苗の活着を促進します。

一方、シルバーマルチは光を反射して地温の上昇を抑えるため、夏の高温対策に有効です。

肥料の流出防止

雨や水やりによる肥料成分の流出を防ぎます。

施した肥料が無駄なくきゅうりに吸収されるため、効率的な栽培が可能になります。

病害虫の軽減

雨による泥はねを防ぐことで、土壌中に潜む病原菌が葉や茎に付着するのを防ぎます。

これにより、べと病などの病気のリスクを低減できます。また、シルバーマルチには光の反射を嫌うアブラムシなどを遠ざける効果も期待できます。

マルチシートの種類と主な効果
種類 主な効果 適した時期
黒マルチ 地温上昇、雑草抑制 春先
透明マルチ 透明 地温上昇効果が高い(雑草は生える) 早春
シルバーマルチ シルバー 地温抑制、アブラムシ忌避
白黒ダブルマルチ 表:白、裏:黒 地温抑制、雑草抑制

マルチングの欠点は何ですか?

マルチングの欠点は何ですか?

多くのメリットがあるマルチングですが、いくつかの欠点や注意点も存在します。

これらを理解した上で利用することが大切です。

マルチングの主なデメリット

  • 追肥の手間:シートが土を覆っているため、追肥の際にシートをめくったり、穴を開けたりする手間がかかります。
  • コストと労力:マルチシートの購入費用がかかるほか、畑に設置したり、シーズン終了後に剥がして処分したりする労力が必要です。
  • ゴミの問題:使用後のビニールマルチは農業廃棄物となり、適切に処理する必要があります。環境への配慮から、土に還る生分解性マルチという選択肢もありますが、価格は高めです。
  • 地温の過度な上昇:夏の高温期に黒マルチを使用すると、地温が上がりすぎてしまい、根にダメージを与える可能性があります。時期に応じた色の選択が重要です。

これらのデメリットはありますが、栽培管理が楽になるというメリットは非常に大きいです。

特に、週末しか畑に行けない方や、栽培面積が広い方にとっては、デメリットを上回る恩恵があると言えるでしょう。

マルチング後の水やりはどうする?

マルチング後の水やりはどうする?

マルチシートをすると土の表面が覆われるため、「水やりはどうすればいいの?」と疑問に思うかもしれません。

基本的な考え方は、水やりの頻度は減りますが、土の乾燥状態を定期的に確認することが重要です。

マルチシートは土壌水分の蒸発を防ぐため、土は乾きにくくなります。

しかし、雨が降ってもシートが水を弾いてしまい、株元に十分な水分が届かないこともあります。

マルチング時の水やりポイント

  1. 植え付け時:苗を植える穴に、あらかじめたっぷりと水を注ぎます。水が引いてから苗を植え付け、その後もう一度株元に水を与えましょう。これで初期の水分は確保できます。
  2. 通常時:マルチをしている場合、真夏以外は基本的に雨水だけで十分なことが多いです。土の表面が乾いて見えても、シートの下は湿っていることがほとんどです。指を植え穴から入れてみて、土の湿り気を確認する習慣をつけましょう。
  3. 乾燥が続く場合:特に梅雨明け後など、雨が降らず乾燥が続く時期は水やりが必要です。気温が高い日中を避け、涼しい朝方や夕方に、苗を植えた穴(株元)からたっぷりと水を与えます。

水のやりすぎは根腐れの原因にもなります。

マルチング栽培では、「乾いたらたっぷりあげる」を基本に、土の状態をよく観察して水やりを行いましょう。

プランター栽培でのマルチング

プランター栽培でのマルチング

マルチングは畑だけでなく、プランター栽培でも非常に有効です。

プランターは畑に比べて土の量が少なく、乾燥しやすいため、マルチングによる保湿効果は大きなメリットとなります。

プランターでビニールマルチを使うことも可能ですが、サイズを合わせるのが少し手間かもしれません。

そこでおすすめなのが、ウッドチップや腐葉土、刈り取った雑草、ワラなどを使った有機物マルチです。

プランターでの有機物マルチの効果

  • 保湿効果:土の表面を覆い、水分の蒸発を防ぎます。
  • 温度調整:夏の強い日差しによる土の温度上昇を和らげます。
  • 土壌改善:有機物がゆっくりと分解される過程で、土の良い栄養になります。

やり方は簡単で、株元を中心に、プランターの土の表面を5cm程度の厚さで覆うだけです。

これにより、水やりの手間が減るだけでなく、泥はねによる病気の予防にも繋がります。

また、プランタースタンドなどを利用してプランターを地面から離すと、さらに病害虫のリスクを減らすことができます。

きゅうりのマルチシートを使った栽培手順

  • 最適なキュウリの種まき時期
  • 種からの栽培は難しい?
  • 適切な畝高と畝幅の作り方
  • 苗を守るあんどんはいつまで必要?
  • きゅうりのマルチシート栽培のコツ

 

最適なキュウリの種まき時期

最適なキュウリの種まき時期

きゅうりの種まきに適した時期は、栽培する地域や品種によって異なりますが、一般的には気温が十分に暖かくなる4月下旬から6月頃が目安です。

きゅうりの発芽には25~30℃程度の地温が必要で、生育には18~25℃が適温とされています。

早まきしすぎると、低温で発芽しなかったり、生育不良になったりする可能性があります。

栽培時期の目安(関東基準)

  • 春まき栽培:4月~5月に種まき、6月~8月に収穫
  • 夏まき栽培:6月~7月に種まき、8月~10月に収穫

家庭菜園で種から育てる場合は、育苗ポットで苗を育ててから畑に植え付けます。

初心者の場合は、霜の心配がなくなり、気温が安定する5月の連休前後に、園芸店などで販売されている苗を購入して植え付けるのが最も簡単で確実な方法です。

種からの栽培は難しい?

種からの栽培は難しい?

「種から育ててみたい」と考える方も多いでしょう。

きゅうりはトマトやナスなどのナス科野菜に比べると、種からの栽培は比較的容易とされています。

しかし、初心者の方にとっては、苗から育てる方が失敗が少なくおすすめです。

その理由は、種から育てる場合、発芽や生育初期の温度管理、水やり、間引きなど、適切な育苗管理が必要になるためです。

特に春先は気温が不安定なため、家庭で育苗用の設備なしに丈夫な苗を育てるのは少し難しいかもしれません。

まずは園芸店やホームセンターで、病気に強い「接ぎ木苗」を選んで植え付けることから始めてみましょう。良い苗を選ぶポイントは、双葉がしっかり残っていて、葉の色が濃く、節と節の間が詰まっているものです。栽培に慣れてきたら、翌年から種からの栽培に挑戦してみるのも良いでしょう。

もし種から挑戦する場合は、市販の種まき用土を入れた育苗ポットに種をまき、日当たりの良い暖かい場所で管理します。

本葉が3~4枚になるまで育ててから、畑やプランターに定植します。

適切な畝高と畝幅の作り方

適切な畝高と畝幅の作り方

きゅうりは根が浅く広がる性質があり、過湿を嫌います。

そのため、水はけの良い環境を整えることが栽培成功の鍵となります。

マルチシートを張る前に、適切な畝を作りましょう。

まず、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰をまいて土壌の酸度を調整します。

1週間前には、完熟たい肥と化成肥料を施してよく耕し、土作りを完成させます。

畝のサイズの目安

  • 畝の高さ:15~20cm程度。水はけが悪い畑では少し高めにします。
  • 畝の幅(1条植えの場合):約60~90cm。
  • 畝の幅(2条植えの場合):約120cm(株間は60cm程度)。

畝を作ったら、表面をレーキなどで平らにならします。

表面がデコボコしていると、マルチシートを張った際に水たまりができ、病気の原因になることがあるため、この作業は丁寧に行いましょう。

平らになったら、マルチシートを張り、風で飛ばされないように両端を土でしっかりと押さえます。

苗を守るあんどんはいつまで必要?

苗を守るあんどんはいつまで必要?

「あんどん」とは、植え付けたばかりの苗をビニールなどで囲い、保護する方法です。

これは特に、まだ気温が不安定な春先に苗を植える場合に非常に効果的です。

あんどんを設置する期間の目安は、植え付けから約1ヶ月~1ヶ月半、苗が生長してビニールから顔を出すくらいまでです。

あんどんの主な効果

  1. 防寒・保温:遅霜や夜間の冷え込みから苗を守り、生育を促進します。
  2. 防風:春の強い風で苗が折れたり、揺さぶられて根が傷んだりするのを防ぎます。
  3. 防虫:きゅうりの葉を食害するウリハムシなどの害虫の飛来を防ぎます。

5月半ばから6月頃になり、気温が安定して苗が窮屈そうになったら、あんどんを外すタイミングです。

あんどんを外した後は、速やかに支柱を立ててネットを張り、つるを誘引する作業に移りましょう。

きゅうりのマルチシート栽培のコツ

この記事では、きゅうり栽培におけるマルチシートの効果や使い方、具体的な栽培手順について解説しました。

最後に、成功のためのポイントをまとめます。

  • きゅうり栽培にマルチシートは必須ではないが多くのメリットがある
  • マルチシートは雑草抑制、保湿、地温調整、病害虫対策に効果的
  • 春先は地温を上げる黒マルチ、夏は地温上昇を抑えるシルバーマルチがおすすめ
  • マルチの欠点は追肥の手間やコスト、使用後のゴミ問題などがある
  • マルチング後の水やりは土の乾燥を確認してから株元にたっぷりと行う
  • プランター栽培では腐葉土やワラでのマルチングも有効
  • 種まきは4月下旬以降、初心者は5月頃に苗を植えるのが確実
  • 種からの栽培は温度管理が重要で、最初は苗からがおすすめ
  • 良い苗は葉色が濃く節間が詰まった病気に強い接ぎ木苗を選ぶ
  • 畝は水はけを良くするため高さ15cm以上で作る
  • マルチを張る前は畝の表面を平らにすることが大切
  • あんどんは植え付け後の苗を保温・防風・防虫のために設置する
  • あんどんは苗が大きくなるまでの約1ヶ月~1ヶ月半で外す
  • 収穫が始まったら肥料切れに注意し2週間に1回程度追肥を行う
  • きゅうりは成長が早いので採り遅れないように注意する

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