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ルピナスの育て方|プランター栽培のコツと注意点を解説

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ルピナスの育て方|プランター栽培のコツと注意点を解説

フジの花を逆さにしたような、豪華で色鮮やかな花穂が魅力のルピナス。

その美しい姿から「昇り藤」とも呼ばれ、春から初夏のガーデンを華やかに彩ります。

この花をプランターで育ててみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

ただ、実際にルピナスの育て方を調べてみると、「ルピナスは一年草ですか?多年草ですか?」といった疑問や、鉢植えでの管理方法、種から育てる場合の春の種まきや地植えとの違いなど、気になる点が多く出てきます。

また、植え替え時期や植えっぱなしで良いのか、花が終わったらどう手入れするのか、こぼれ種で増えるのか、といった具体的な栽培方法から、枯れる原因を知って失敗を避けたいという気持ちもあるかもしれません。

この記事では、プランターでルピナスを美しく咲かせるための育て方について、基本から詳しく解説していきます。

  • プランター栽培に適したルピナスの基本情報
  • 種まきから植え付けまでの具体的な手順
  • 日々の管理方法と花を長く楽しむコツ
  • よくある失敗の原因とその対策

プランターでのルピナスの育て方【基本編】

ルピナスをプランターで元気に育てるためには、まずその性質や栽培を始める前の準備を理解しておくことが大切です。

ここでは、栽培の基礎となる5つのポイントを解説します。

  • ルピナスは一年草ですか?多年草ですか?
  • プランターでの鉢植えに適した用土の準備
  • 種から育てる春の種まきと発芽のコツ
  • 種まきは地植えよりポットがおすすめ
  • 植え替え時期と植えっぱなしの注意点

 

ルピナスは一年草ですか?多年草ですか?

ルピナスは一年草ですか?多年草ですか?

ルピナスを育てる上で最初に理解しておきたいのが、一年草と多年草の扱いの違いです。

本来ルピナスは多年草に分類される植物ですが、日本の多くの地域では一年草として扱われています。

その理由は、ルピナスの性質にあります。

ルピナスは冷涼な気候を好み、高温多湿の環境が非常に苦手です。

そのため、夏が蒸し暑い関東以西の平野部などでは夏越しが難しく、開花後に枯れてしまうことがほとんどなのです。

このため、秋に種をまき、翌年の春に花を楽しみ、夏前には栽培を終える「一年草」としてのサイクルが一般的になっています。

一方で、北海道や東北、高冷地などの夏が涼しい地域では、無事に夏を越して宿根し、毎年花を咲かせる多年草として楽しむことも可能です。

特徴 一年草としての育て方(温暖地) 多年草としての育て方(冷涼地)
種まき 9月~10月 6月または9月~10月
開花期 翌年4月~6月 翌年以降、毎年4月~6月
夏越し 基本的に行わず、花後に抜き取る 風通しの良い半日陰で管理
冬越し - 敷きわらなどで霜よけ対策

このように、お住まいの地域の気候によってルピナスの育て方は変わります。

ご自身の環境に合わせて、一年草か多年草か、どちらのスタイルで育てるかを決めるところから始めましょう。

プランターでの鉢植えに適した用土の準備

プランターでの鉢植えに適した用土の準備

ルピナスのプランター栽培で成功を左右する最も重要な要素の一つが、用土の準備です。

ルピナスは過湿を極端に嫌うため、水はけの良い土壌環境を整えることが不可欠となります。

用土の選び方

一番手軽なのは、市販されている「草花用の培養土」を利用する方法です。

これらは多くの植物に適するようにバランス良く配合されており、初心者の方でも安心して使えます。

もし自分で土を配合する場合は、「赤玉土(小粒)6:腐葉土4」の割合を基本に混ぜ合わせると良いでしょう。

さらに、水はけを良くするためにパーライトや軽石を1割ほど加えるのも効果的です。

また、ルピナスはマメ科の植物で、酸性の土壌を嫌う性質があります。

日本の土は雨の影響で酸性に傾きがちなので、用土に苦土石灰を少量混ぜ込んで土壌の酸度を中和しておくと、生育がスムーズになります。

プランターとその他の準備

ルピナスは太い根がまっすぐ下に伸びる「直根性」という特徴を持っています。

根が窮屈にならないよう、できるだけ深さのあるプランターや鉢を選んでください。

大きさは、植え付ける苗よりも二回りほど大きいサイズが適切です。

そして、プランターの底には必ず「鉢底石」を敷き詰め、その上に「鉢底ネット」を置いてから用土を入れましょう。

これにより、水やりの際に土が流れ出るのを防ぎ、鉢全体の通気性と排水性をさらに高めることができます。

種から育てる春の種まきと発芽のコツ

種から育てる春の種まきと発芽のコツ

ルピナスは種からでも比較的簡単に育てることができます。

一般的には秋まきが推奨されますが、春に種をまいて栽培を始めることも可能です。

最適な種まきの時期は9月下旬から10月頃です。

この時期にまくと、冬の寒さを経験して株がじっくりと育ち、春に立派な花を咲かせます。

春まき(3月~4月)もできますが、その場合は開花が翌年になったり、夏の暑さで苗が弱ってしまったりする可能性があるため、管理には少し注意が必要です。

ルピナスの種は表面が硬い「硬実種子」で、そのまままくと水を吸いにくく発芽が揃わないことがあります。

そこで、発芽率を上げるための簡単なコツがあります。

  1. 吸水処理を行う: 種まきの前に、種をボウルなどに入れて一晩水につけておきます。こうすることで種が水分を吸収し、発芽しやすくなります。
  2. 光を当てない: ルピナスは「嫌光性種子」といって、光が当たると発芽が抑制される性質があります。種をまいたら、1~2cmほどしっかりと土をかぶせて、光を遮断することが大切です。

この二つのポイントを押さえるだけで、発芽の成功率がぐっと高まります。

種まきは地植えよりポットがおすすめ

種まきは地植えよりポットがおすすめ

ルピナスの種まきは、庭や花壇に直接まく「地植え(直播き)」もできますが、初心者の方には育苗ポットにまく方法がおすすめです。

その理由は、ルピナスの持つ「直根性」という性質と、初期管理のしやすさにあります。

直根性とは?

直根性とは、大根やゴボウのように、太くまっすぐな主根が地中深くに伸びていく性質のことです。

この主根は非常にデリケートで、一度傷ついたり切れたりすると、株全体の生育に大きなダメージを与えてしまいます。

そのため、ルピナスは植え替えを極端に嫌う植物として知られています。

地植えの場合、一度芽が出た場所から動かすことはできません。

一方で、育苗ポットであれば、水やりや温度の管理がしやすく、最適なタイミングで根を傷つけずにプランターへ定植できます。

ポットまきの手順は、まず清潔な育苗ポットに種まき用の土を入れ、前述の方法で吸水させた種を1~2cmの深さにまきます。

発芽して本葉が数枚出てくるまでは、ポットでじっくりと育てましょう。

この方法なら、小さな苗をしっかりと管理でき、後の植え付けもスムーズに進みます。

したがって、特にプランター栽培では、ポットまきから始めるのが確実な方法と言えるでしょう。

植え替え時期と植えっぱなしの注意点

植え替え時期と植えっぱなしの注意点

前述の通り、ルピナスは植え替えに非常に弱い植物です。

このため、植え付けは一度きりと考えて、最初の場所選びと作業を慎重に行うことが栽培成功の鍵となります。

ポットで育てた苗をプランターに植え付ける最適な時期は、本葉が6~8枚程度に育った頃です。

このタイミングで、最終的に育てるプランターに定植します。

植え付け作業で最も注意すべき点は、「根鉢を絶対に崩さない」ことです。

ポットから苗を抜く際は、ポットの側面を軽く揉むようにして土をほぐし、逆さにしてそっと引き抜きます。

根がびっしりと張っている状態(根鉢)をそのまま保ち、あらかじめ用意しておいたプランターの植え穴に静かに置きます。

その後、隙間に土を足して株を固定し、最後にたっぷり水を与えてください。

植えっぱなしにする場合の注意点ですが、これは育てる地域によって対応が異なります。

温暖地で一年草として育てる場合は、花が終わり、夏が近づくと枯れてくるため、株を抜き取って栽培終了となります。

一方、冷涼地で多年草として夏越しや冬越しに挑戦する場合は、植えっぱなしで管理します。

夏越しさせるには、鉢植えの利点を活かし、直射日光の当たらない風通しの良い涼しい場所へ移動させることが大切です。

冬越しでは、株元を腐葉土やバークチップで覆う(マルチング)などして、根が凍結しないように保護します。

ルピナスの育て方|プランターでの管理方法

植え付けが無事に終わったら、日々の管理が始まります。

ルピナスが元気に育ち、美しい花を咲かせるための管理方法と、トラブルを避けるためのコツを見ていきましょう。

  • 枯れる原因で多いのは根腐れと日照不足
  • 適切な日当たりと水やりの頻度
  • 花が終わったら早めに花がらを摘み取る
  • こぼれ種を採取して翌年も楽しむ方法
  • 知っておきたい病害虫とその対策

枯れる原因で多いのは根腐れと日照不足

枯れる原因で多いのは根腐れと日照不足

ルピナスの栽培で失敗する最も一般的な原因は、「根腐れ」と「日照不足」です。

これらの問題は、ルピナスの基本的な性質を理解することで防ぐことができます。

根腐れ

ルピナスが枯れる原因の第一位は、水のやりすぎによる根腐れです。

高温多湿を嫌うルピナスにとって、土が常に湿った状態は非常に危険です。

特にプランター栽培では土の量が限られているため、水の与えすぎや鉢皿に水が溜まったままの状態は、根が呼吸できなくなる原因に直結します。

水やりは必ず土の表面が完全に乾いたことを確認してから行うようにしましょう。

日照不足

ルピナスは日光を好む植物です。

日照不足になると、茎がひょろひょろと弱々しくなったり、葉の色が悪くなったりするだけでなく、最も大きな影響として花つきが悪くなります。

豪華な花穂を楽しむためには、十分な日光を当てて株をがっしりと育てることが不可欠です。

生育期には、できるだけ日当たりの良い場所で管理してください。

これらの点を踏まえると、ルピナスの生育には「適度な乾燥」と「十分な日光」という、相反するように見える要素のバランスを取ることが大切になります。

適切な日当たりと水やりの頻度

適切な日当たりと水やりの頻度

ルピナスを健康に育てるためには、日当たりと水やりの管理が基本となります。

それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。

日当たりと置き場所

ルピナスは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。

プランターを置く場所は、少なくとも半日以上は直射日光が当たる場所を選んでください。

日当たりが良いほど、株は丈夫に育ち、花の色も鮮やかになります。

ただし、ルピナスは夏の強い西日や高温を嫌います。

多年草として夏越しを目指す場合は、夏の間だけは直射日光を避けられる、明るい半日陰のような場所に移動させると良いでしょう。

鉢植えなら、季節に応じて最適な場所に移動できるのが大きなメリットです。

水やりの頻度

水やりは、ルピナス栽培で最も注意を払うべき作業の一つです。

基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」です。

この「乾いたら」というタイミングが非常に大切で、土がまだ湿っているうちに追加で水を与えると、過湿状態になり根腐れを引き起こします。

特に梅雨時期など、雨が続く季節は水やりを控える必要があります。

地植えの場合は、よほど乾燥した日が続かない限り、自然の雨水だけで十分です。

プランター栽培では、土の乾き具合を指で触って確認する習慣をつけると、失敗が少なくなります。

水の与えすぎに注意し、少し乾燥気味に管理することを心がけましょう。

花が終わったら早めに花がらを摘み取る

花が終わったら早めに花がらを摘み取る

ルピナスの花を長く、そして繰り返し楽しむためには、「花がら摘み」という作業が欠かせません。

これは、咲き終わった花を摘み取る手入れのことです。

ルピナスの花は、長い花穂の下の方から上に向かって順番に咲き進んでいきます。

そして、一番上の花が咲き終わる頃には、下の方はすでに枯れて種を作ろうとし始めます。

植物にとって種を作ることは、子孫を残すための非常にエネルギーを消耗する活動です。

もし花がらをそのままにしておくと、株の栄養が新しい花を作ることではなく、種を成熟させることに使われてしまいます。

その結果、株が疲れてしまい、次の花が咲きにくくなったり、株全体の寿命が短くなったりするのです。

そこで、花が終わった部分をこまめに摘み取ることが大切になります。

花穂全体の7~8割の花が咲き終わったタイミングで、花穂の付け根(花茎)からハサミで切り取りましょう。

こうすることで、株のエネルギーの消耗を防ぎ、株元から新しい脇芽が伸びてきて、二番花、三番花を咲かせてくれる可能性が高まります。

このひと手間で、より長い期間ルピナスの美しい花を楽しむことができます。

こぼれ種を採取して翌年も楽しむ方法

こぼれ種を採取して翌年も楽しむ方法

花がら摘みをせず、花をそのままにしておくと、やがて豆のサヤのようなものができます。

これがルピナスの種です。この種を採取して、翌年の栽培に繋げることもできます。

種を採取したい場合は、花が終わった後も花茎を切らずに残しておきます。

サヤが緑色から徐々に茶色く変化し、乾燥してカラカラになったら収穫のタイミングです。

サヤが完熟すると自然に弾けて種が飛び散ることがあるため、サヤが茶色くなり始めたら、不織布の袋などを被せておくと種を確実に回収できます。

収穫したサヤから種を取り出し、紙の封筒などに入れて、種まきの時期まで冷暗所で保管します。

前述の通り、ルピナスの種は光を嫌うため、必ず光の当たらない場所で保管してください。

また、湿気も大敵なので、乾燥剤と一緒に入れておくとより安心です。

このようにして採取した種は、秋になったらまくことができます。

ただし、親株と同じ色の花が咲くとは限らないのが、種から育てる面白さでもあります。

自分で育てたルピナスから種を採り、次の世代へ繋げていくのも、ガーデニングの大きな楽しみ方の一つです。

知っておきたい病害虫とその対策

知っておきたい病害虫とその対策

ルピナスは比較的丈夫な植物で、適切な環境で育てていれば、病気や害虫の心配はそれほどありません。

しかし、気候や管理の仕方によっては、いくつかのトラブルが発生することもあります。

代表的な害虫は「アブラムシ」と「ヨトウムシ」です。

アブラムシは、春先に新芽や茎にびっしりと付くことがあります。

植物の汁を吸って株を弱らせるだけでなく、病気を媒介することもあるため、見つけ次第すぐに駆除することが大切です。

数が少ないうちは、テープに貼り付けたり、歯ブラシなどでこすり落としたりできますが、多く発生した場合は市販の殺虫剤を使用するのが効果的です。

ヨトウムシは夜行性で、昼間は土の中に隠れています。

夜になると活動を始め、葉や花を食べてしまう食害性の害虫です。

葉に食べられた跡を見つけたら、株の周りの土を少し掘ってみると見つかることがあります。

見つけ次第、捕殺しましょう。

病気で注意したいのは「うどんこ病」です。

これは、葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビが生える病気で、日当たりや風通しが悪いと発生しやすくなります。

発生初期であれば、専用の殺菌剤で対処できます。

いずれの病害虫も、早期発見・早期対処が基本です。

毎日の水やりの際に、葉の裏や茎などをよく観察する習慣をつけ、株の健康状態をチェックしましょう。

失敗しないルピナスの育て方プランター編

この記事で解説した、プランターでルピナスを上手に育てるためのポイントを以下にまとめます。

  • 日本の気候では一年草として扱うのが基本
  • プランターは深さのあるものを選ぶ
  • 用土は水はけの良い市販の培養土が手軽
  • 酸性の土を嫌うため苦土石灰で調整するのも手
  • 種まきは秋が最適だが春も可能
  • 種は硬いため一晩水につけてからまく
  • 光を嫌うので1cmほど土を被せる
  • 移植を嫌う直根性なので根鉢は崩さない
  • 水やりは土の表面が乾いてからたっぷりと
  • 過湿は根腐れの一番の原因
  • 肥料は植え付け時の元肥だけで十分な場合が多い
  • 花が終わったら花茎ごとカットして次の花を促す
  • こぼれ種でも増える可能性がある
  • 病害虫は少ないがアブラムシに注意する
  • 日当たりと風通しの良い場所で管理する

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