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ミニトマトの低温障害対策!症状と回復方法を徹底解説

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ミニトマトの低温障害対策!症状と回復方法を徹底解説

この記事では、ミニトマト低温障害がどのような症状なのかを写真とともに示し、何度から発生するのか、そしてどのように回復させ、寒さで枯れるのを防ぐための対策があるのかを詳しく解説いたします。

また、低温障害と冷蔵庫での保存に関する注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むことで「ミニトマト低温障害」と検索した読者が具体的に何について理解を深められるか

  • ミニトマトが低温障害を起こす際の具体的な症状
  • 低温障害が起きやすい温度の目安と原因
  • 低温障害からの回復方法と予防策
  • 日常的な管理における低温対策のポイント

 

ミニトマト低温障害の主な症状を解説

 

  • 低温障害の症状を写真で確認
  • 葉の斑点や変色の詳細
  • 果実に現れる奇形と生育不良
  • 花が落ちて寒さで枯れる原因

 

低温障害の症状を写真で確認

低温障害の症状を写真で確認

ミニトマトが低温障害を受けた際、葉や果実には特有の症状が現れます。

まず、ハウス栽培においてビニールが破れた環境下での低温障害では、葉の周辺部から枯れ始めるのが一般的です。

これは、組織が低温によってダメージを受け、機能が損なわれるためです。

また、果実の表面には傷がつくこともあります。

これは、果実がまだ小さい時に夜露が凍り、それが肥大するにつれて傷が大きくなったものです。

軽度の低温障害では、葉の裏側にアントシアニン色素が生成され、葉が紫色に変色する症状が見られます。

 

葉の斑点や変色の詳細

葉の斑点や変色の詳細

ミニトマトが低温ストレスにさらされると、葉に茶色や白の斑点が出ることがあります。

これらの斑点は、低温によって葉の細胞機能が低下したり、色素に異常が生じたりする生理障害の一種です。

特に、株の下側や葉先に症状が集中して現れる傾向があります。

前述の通り、軽度の場合では葉裏にアントシアニンが発現し、葉が紫色に変色する現象が見られますが、低温によるダメージが進行すると、葉や茎が斑点状に茶色く変色し、最終的には白化して枯れてしまうこともあります。

これは、光合成能力の低下や、水分・養分の吸収阻害が原因で、葉がトマトからのSOSサインとして異常を示すものです。

注意点として、これらの斑点や変色は斑点病といった病気と間違えられることがあるため、症状を注意深く観察し、適切な判断をすることが求められます。

 

果実に現れる奇形と生育不良

果実に現れる奇形と生育不良

低温障害は、ミニトマトの果実にも悪影響を及ぼします。

果実の肥大が阻害され、本来の大きさに育たないまま成熟してしまうことがあります。

また、果実の表面に閉じたファスナーのような傷がつくチャック果や、果実表面の一部が陥没する窓あき果、さらにはやけどが治ったような跡が残るケロイド症果といった奇形果が発生することもあります。

これは、果実がまだ幼い段階で低温にさらされ、組織の成長が阻害されるために起こります。

果実の見た目だけでなく、味や品質にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

 

花が落ちて寒さで枯れる原因

花が落ちて寒さで枯れる原因

ミニトマトの栽培において、低温は花芽や開花中の花器に特に大きな影響を与えます。

トマトは、茎葉や肥大した果実であれば0℃程度の低温にも耐えることができる場合が多いです。

しかし、花芽や開花中の花器は寒さに弱く、2℃くらいから被害が出始めると言われています。

マイナス1℃の低温にさらされると、約半数の花が枯死する可能性もあるのです。

開花期に低温が続くと、花粉の機能や受精能力が低下し、花が十分に育たずに落花してしまうことがあります。

これにより、着果不良を引き起こし、最終的な収穫量が大きく減少する原因となります。

厳寒期には適切な保温対策を講じることが重要です。


 

ミニトマト低温障害を防ぐ対策と回復

 

  • 低温障害は何度から発生するのか
  • 低温障害からの回復は可能か
  • 有効な低温対策でダメージを軽減
  • 適切な地温維持と水やりが重要
  • 低温障害を受けた場合の対応
  • 冷蔵庫での保存と低温障害のリスク
  • ミニトマト低温障害の予防と栽培のポイント

 

低温障害は何度から発生するのか

低温障害は何度から発生するのか

ミニトマトの低温障害は、品種や生育段階によって感受性が異なりますが、一般的には気温が10℃を下回ると発生のリスクが高まります。

特に、5℃以下の低温に長時間さらされると、植物にとって致命的なダメージを受ける可能性があり、深刻な影響が出始めます。

これは、ミニトマトがナス科の植物であり、元々温暖な気候を好む性質があるためです。

一定の温度以下になると、光合成能力の低下、根からの水分や養分吸収能力の弱まり、細胞レベルでの活動停滞など、トマト自身の生命活動が鈍り、様々な生理的な不調が生じます。

トマトの生育に適した温度は以下の通りです。

温度帯 昼間 夜間 地温
適温 20~30℃程度 10~15℃程度 15~25℃程度

この温度帯を大きく下回る状況が続くと、生育不良や低温障害のリスクが高まります。

特に夜間の温度が10℃を継続して下回る場合は注意が必要です。

また、昼夜の寒暖差が大きい時期や、急激な温度低下があった場合も、トマトが大きなストレスを感じ、障害が発生しやすくなります。

 

低温障害からの回復は可能か

低温障害からの回復は可能か

ミニトマトが低温障害を受けた場合、一度深刻なダメージ(著しい変色、乾燥、組織の壊死など)を受けた葉が完全に元の状態に再生することはありません。

これは、低温によって葉の細胞が物理的・生理的な損傷を受け、その部分の組織が不可逆的な変化を遂げてしまうためです。

しかしながら、株全体としての生育を回復させ、新しい健全な葉や実を育てていくことは可能です。

重要なのは、ダメージの拡大を防ぎ、株の生命力を維持し、新たな成長を促すための迅速かつ適切な対策を講じることです。

株自体が生命力を持ち、茎頂やわき芽などの成長点が生きていれば、環境を改善することで新しい葉を展開し、生育を再開することができます。

低温障害を受けた葉は光合成能力が低下しますが、全体のバランスを見ながら、わき芽を摘まずに成長させることで、損傷した葉の代役として利用し、株を元気に成長させることも可能です。

 

有効な低温対策でダメージを軽減

有効な低温対策でダメージを軽減

ミニトマトの低温障害を効果的に防ぐためには、いくつかの対策が有効です。

まず、適切な定植時期の選定が重要です。

苗の植え付けは、十分に気温が上がるまで待つことが推奨されており、ゴールデンウィーク(5月初旬)頃まで待つと夜間の冷え込みも緩み、低温障害のリスクを減らすことができます。

早期に植え付けたい場合は、保温対策を十分に講じる必要があります。

植え付けた苗の周囲を透明なビニールで囲む「あんどん」や、トンネル・内張りカーテンなどの使用により、風や冷気から苗を守り、地温や気温の低下を防ぐことができます。

これにより、苗の生育環境を安定させ、低温障害の発生を抑制することが期待できます。

ハウス栽培においては、被覆資材を二重、あるいは三重にして使用することで断熱性を向上させ、冷気を遮断する方法も有効です。

結露の起こりにくい素材を選ぶと、病気の発生も抑えられます。

 

適切な地温維持と水やりが重要

適切な地温維持と水やりが重要

ミニトマトの栽培において、地温の維持は低温障害対策の重要な要素です。

トマトの根は地温にも敏感であり、地面が冷えると根の吸水能力が低下し、栄養の吸収が妨げられます。

地温を安定させるためには、マルチング(地面を覆う資材の活用)が効果的です。

黒色または透明フィルムを使用して地温を保ち、さらに稲わらで断熱効果を高めることも有効な方法です。

マルチングは土壌の温度を一定に保つだけでなく、雑草の抑制や水分の蒸発防止にも役立ちます。

また、適切な潅水管理も地温維持に繋がります。

定植後は地温を下げないよう、潅水を控えめに行うことが推奨されます。

特に活着後から第3花房が開花するまでの間は、潅水を控えることで根張りを促進し、植物体の健全な生育をサポートします。

潅水時の水温が低すぎる場合も低温障害を引き起こす要因になるため、水温にも注意を払うことが大切です。

 

低温障害を受けた場合の対応

低温障害を受けた場合の対応

ミニトマトが低温障害を受けてしまった場合でも、適切な応急処置を行うことで回復を促すことができます。

まず、ハウス内や周囲の温度を急激に上げることは避けてください。

温度を急激に上げると、植物がさらなるストレスを受け、回復が遅れる可能性があるためです。

ハウス内の温度は徐々に上昇させるよう注意しましょう。

また、低温障害を受けたトマトは栄養吸収が不十分になりがちです。

即効性のある葉面散布肥料を使用することで、葉から直接栄養を補給し、トマトの弱った生育を助けることが可能です。

葉面散布の際は、植物に優しい濃度であることを確認し、日差しの強い時間帯を避けて行うのがポイントです。

前述の通り、低温障害で枯れてしまった葉や果実は、株全体への栄養の流れを阻害することがあります。

光合成のために必要な新しい葉が展開していることを確認しつつ、被害がひどい部分は切除して、株のエネルギーを健康な部分に集中させるようにしましょう。

 

冷蔵庫での保存と低温障害のリスク

冷蔵庫での保存と低温障害のリスク

ここでは収穫後、ミニトマトの保存に関しての注意点です。ミニトマトは冷蔵庫で保存するのが一般的ですが、その際にも低温障害のリスクが存在します。

トマトは低温に弱い性質があるため、冷蔵庫の温度が低すぎると、低温障害を起こして味が落ちたり傷みが早まったりする可能性があります。

このため、野菜室(5℃~10℃)がある場合は、そこでの保存が推奨されます。

野菜室のない冷蔵庫で、庫内の温度が2℃~5℃といった低い場合は、キッチンペーパーや新聞紙でトマトを包み、保存袋などに入れてから冷蔵庫に入れるとよいでしょう。

その際、トマト同士がくっつかないように入れることも大切です。

トマトの表面は柔らかく、触れ合うことで傷み始める可能性が高まるためです。

保存する際はヘタの部分が下になるように置くと、より長持ちすると言われています。

 

ミニトマト低温障害の予防と栽培のポイント

 

ミニトマトの低温障害を予防し、健全な栽培を行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 適切な定植時期の選定:地域の気候に合わせて、夜間の最低気温が安定して10℃以上になる時期を選びましょう。
  • 保温対策の徹底:特に苗の時期や夜間の冷え込みが予想される場合は、あんどん、ビニールトンネル、不織布などで苗を覆い、冷気から保護します。
  • 地温の維持:マルチングを利用して地温を一定に保ち、根の活動を活発に保ちましょう。
  • 水管理の適正化:定植後や低温時には潅水を控えめにし、根腐れや地温低下を防ぎます。水やりは地温が十分に上がってから行い、冷たい水を与えすぎないよう注意します。
  • 追肥と草勢管理:第3花房の開花期から追肥を開始し、植物体のバランスを保ちながら健全な生育を促します。草勢が旺盛な場合は追肥を省略することも検討が必要です。
  • 病害虫対策:健全な株は低温ストレスにも強いため、日頃から病害虫の発生に注意し、適切な防除を行います。
  • 日照の確保:保温材で光を遮りすぎないように注意し、日中は十分な日光が当たるようにします。光合成は回復に不可欠なプロセスです。
  • 温度センサーの活用:ハウス栽培では、温度センサーを導入し、リアルタイムで温度をモニタリングすることで、遠隔地からでも状況を確認し、必要に応じて暖房設備や換気を操作できます。
  • 複合環境制御システムの導入:初期投資は必要ですが、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素濃度を自動で調整するシステムは、安定した収量と品質の向上に繋がります。
  • 生育ステージごとの注意:育苗期、開花・着果期、果実肥大期・成熟期と、それぞれのステージで低温に対する感受性が異なるため、その時期に合わせた対策を講じます。
  • 急激な環境変化の回避:急な温度変化はトマトに大きなストレスを与えるため、環境変化は徐々に行うよう心がけます。
  • 傷んだ葉の適切な処置:明らかに枯れてしまった葉や、回復が見込めない葉は、病害の原因にもなるため、清潔なハサミで速やかに切除し、株のエネルギーを健康な部分に集中させます。
  • 回復期の水やり:低温時は根の活動が鈍るため、土の表面が乾いてから水を与え、過湿による根腐れを防ぎます。
  • 葉面散布の活用:低温障害で栄養吸収が不十分な場合は、即効性のある葉面散布肥料で栄養を補給し、生育をサポートします。
  • 日々の観察:気温の変化や植物の状態を注意深く観察し、早期発見と適切な対応を心がけることが最も大切です。

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