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プランターで楽しむラズベリーの育て方|初心者向け栽培ガイド

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プランターで楽しむラズベリーの育て方|初心者向け栽培ガイド

自宅のベランダや省スペースで、手軽に美味しい果実を収穫してみたいと思ったことはありませんか。

ラズベリーのプランター栽培は、そんな願いを叶えてくれる家庭菜園に最適な選択肢の一つです。

ただ、ラズベリーの育て方を調べ始めると、栽培の難易度や、適切なプランターの大きさ、鉢植えで支柱ありかなしどちらが良いのか、といった様々な疑問が浮かびます。

また、ラズベリーは植えてはいけないという話や、地植えの注意点を聞いて不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、正しい知識があれば、これらの心配は解消できます。

この記事では、苗が出回る時期や植える時期の選定から、コンパクトに育てるための仕立て方、そして植えてから何年で実がなりますか?という収穫までの期間に関する疑問まで、ラズベリーをプランターで育てるための情報を網羅的に解説します。

失敗や後悔を避け、甘酸っぱい果実の収穫を目指しましょう。

  • 初心者でも安心なプランター栽培の始め方
  • 品種選びから剪定まで季節ごとのお手入れ方法
  • ラズベリー栽培で陥りがちな失敗とその対策
  • 美味しい果実をたくさん収穫するためのコツ

初心者向けラズベリーの育て方|プランター栽培の準備

  • ラズベリー栽培の難易度は低い?
  • 最適なプランターの大きさは8号以上
  • 苗が出回る時期と最適な植える時期
  • ラズベリーを植えてはいけない場所
  • 参考:地植えで育てる場合の注意

ラズベリー栽培の難易度は低い?

ラズベリー栽培の難易度は低い?

ラズベリーの栽培は、果樹の中では比較的難易度が低く、家庭菜園の初心者にもおすすめできます。

その理由は、病害虫に強く、特別な薬剤散布などをしなくても健やかに育つことが多いからです。

また、多くの品種は自家結実性を持っており、1本だけ植えれば受粉して実をつけるため、広いスペースを必要としません。

もちろん、全く手間がかからないわけではありません。

ラズベリーは生育旺盛なため、定期的な剪定や、プランター栽培では水やりと肥料の管理が欠かせなくなります。

しかし、これらの基本的なお世話のポイントさえ押さえれば、春には可愛らしい花が咲き、初夏から秋にかけて美味しい果実の収穫を楽しめるでしょう。

品種には、年に一度、初夏に収穫期を迎える「一季なり性」と、初夏と秋の二度収穫できる「二季なり性」があります。

初めてで、より多く収穫の喜びを感じたいのであれば、二季なり性の品種を選ぶと考えられます。

最適なプランターの大きさは8号以上

最適なプランターの大きさは8号以上

プランターでラズベリーを育てる場合、鉢の大きさがその後の生育を大きく左右します。

結論から言うと、苗を植え付ける際には、直径24cm程度の「8号鉢」以上を選ぶのが適切です。

市販されている苗は3~4号ポット(直径9~12cm)に入っていることが多いため、それよりも二回り以上大きい鉢を用意します。

なぜなら、ラズベリーは地上部だけでなく、地下の根も非常に旺盛に成長する植物だからです。

小さな鉢ではすぐに根が詰まってしまい(根詰まり)、水の吸収や養分の循環が悪くなります。

結果として、株が弱ってしまい、花つきや実つきが悪くなる原因となるのです。

最初は苗が小さく、大きな鉢が不釣合いに見えるかもしれませんが、将来の成長を見越して十分なスペースを確保してあげることが、健康な株を育てるための鍵となります。

素材は、通気性と排水性に優れるテラコッタ(素焼き鉢)や、軽くて移動が楽なプラスチック製のスリット鉢などが向いています。

苗が出回る時期と最適な植える時期

苗が出回る時期と最適な植える時期

ラズベリーの栽培を始めるにあたり、苗を植え付けるタイミングは非常に大切です。

苗木は、主に秋から春先にかけて園芸店やホームセンターの店頭に並び始めます。

最適な植え付け時期は、ラズベリーが休眠期に入る11月~2月の落葉期です。

この時期に植え付けることで、株が活動を始める春までに、根が新しい環境にしっかりと馴染むための時間を確保できます。

春になって新芽が吹き出すのと同時に、スムーズに成長を開始できるため、株への負担が最も少なくて済みます。

ただし、真冬の厳寒期は、土が凍結したり、株が寒さで弱ったりする可能性があるため、避けた方が無難でしょう。

苗を選ぶ際は、枝がひょろひろと細長いものではなく、太くがっしりしていて、病害虫の被害が見られない健康的な株を選びます。

良い苗を選ぶことが、その後の成功への第一歩です。

ラズベリーを植えてはいけない場所

 

ラズベリーは庭に植えてはいけない」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これはラズベリーの特定の性質に由来する注意喚起です。

ラズベリーを植えるべきではない場所は、主に以下の二つの特徴を持つ場所が挙げられます。

一つ目は、他の植物が密植されている狭いスペースです。

ラズベリーは地下茎(ちかけい)と呼ばれる地下を這う茎を四方八方に伸ばし、そこから新しい芽(シュート)を出して繁殖する力が非常に強い植物です。

安易に庭の花壇などに地植えしてしまうと、数年後には想定外の場所から次々と芽を出し、周りの植物の生育領域を侵食してしまう可能性があります。

二つ目は、ブラックベリーのすぐ近くです。

ラズベリーとブラックベリーは同じキイチゴの仲間ですが、近縁であるためか、すぐ隣に植えると互いの生育に悪影響を及ぼし、枯れてしまうことがあると言われています。

これらの理由から、特に地植えを検討する際は、十分なスペースを確保するか、後述する対策を講じることが不可欠です。

プランター栽培は、このような繁殖力の問題を根本的に解決できるため、管理が容易な方法と言えます。

参考:地植えで育てる場合の注意

前述の通り、プランター栽培が推奨されるラズベリーですが、庭に十分なスペースがある場合は地植えで大きく育てることも可能です。

その際には、いくつかの注意点を守る必要があります。

最も重要な対策は、地下茎の広がりを制御することです。

植え付けたい場所の周囲を、深さ30~40cmほど掘り、根の広がりを物理的に防ぐための「根止め(ルートブロック)」や、プラスチックや金属の板を埋め込みます。

これにより、ラズベリーが管理できない範囲まで広がってしまうのを防げます。

また、日当たりと風通しも重要な要素です。

ラズベリーは日光を好みますが、日本の真夏の強い直射日光や西日は葉焼けや株の弱りの原因になります。

したがって、一日中日が当たる場所よりも、午前中は日が当たり、午後は木陰になるような「半日陰」の場所が理想的です。

水はけの悪い土壌では根腐れを起こしやすいため、植え付け前には腐葉土や堆肥をたっぷりと混ぜ込み、土壌を改良しておくことも大切です。

これらの点に注意すれば、地植えでも毎年たくさんの収穫を楽しむことができるでしょう。

ラズベリーの育て方|プランター栽培の管理と収穫

  • 鉢植えは支柱あり?支柱なし?
  • コンパクトに育てるための仕立て方
  • 収穫量を左右する剪定の基本
  • 植えてから何年で実がなりますか?
  • ラズベリーの育て方プランター栽培の要点

鉢植えは支柱あり?支柱なし?

鉢植えは支柱あり?支柱なし?

ラズベリーを鉢植えで育てる際、支柱を立てるべきか迷うことがあります。

結論としては、多くの品種で支柱を立てた方が管理がしやすく、より良い結果につながります。

ラズベリーの枝(シュート)は、品種によってはしなやかで自立しにくく、成長するにつれて自分の重みや果実の重さで垂れ下がったり、折れたりすることがあります。

支柱で枝を支えてあげることで、株全体の形が整うだけでなく、いくつかのメリットが生まれます。

まず、枝が混み合うのを防ぎ、株の中心部まで日光が当たりやすくなります。

また、風通しが良くなるため、湿気がこもりにくくなり、灰色かび病などの病気の予防にも繋がります。

支柱には、1本の棒を立てる方法のほか、複数の支柱を円錐状に組む「オベリスク」や、四角く組む「あんどん支柱」などがあります。

プランターの大きさやラズベリーの成長に合わせて選ぶと良いでしょう。

特にスペースが限られるベランダなどでは、縦の空間を有効に使えるオベリスク仕立てなどがおすすめです。

コンパクトに育てるための仕立て方

コンパクトに育てるための仕立て方

プランター栽培では、ラズベリーをいかにコンパクトに維持するかがポイントになります。

このための技術が「仕立て方」です。

適切に枝を誘導し、剪定することで、限られたスペースでも効率よく栽培できます。

オベリスク仕立て

ラズベリーのオベリスク仕立て

前述の通り、鉢にオベリスクを立て、伸びてきた枝をらせん状に巻きつけていく方法です。

縦に空間を活かせるため、ベランダ栽培に最適です。

枝が混み合わないように、古くなった枝や細すぎる枝は根元から剪定し、常に数本の元気な枝を更新していくように管理します。

あんどん仕立て

ラズベリーのあんどん仕立て

鉢の縁に沿って円形や四角形の支柱を立て、そこに枝を誘引する方法です。

こちらも家庭で扱いやすい仕立て方です。

枝を支柱に固定する際は、麻ひもなどで8の字に結ぶと、枝を傷つけにくく、成長しても食い込みを防げます。

いずれの仕立て方でも、新しいシュートが出てきたら、将来メインにする数本を残し、細いものや不要なものは早めに間引くことが大切です。

これにより、残した枝に養分が集中し、太く健康な株に育ちます。

収穫量を左右する剪定の基本

収穫量を左右する剪定の基本

ラズベリーの栽培において、剪定は最も重要な作業の一つです。

剪定を適切に行うことで、株の健康を保ち、翌年の収穫量を大きく増やすことができます。

剪定方法は「一季なり性」と「二季なり性」で異なるため、育てている品種の特性を理解しておくことが不可欠です。

一季なり性の剪定

一季なり性の品種は、前年に伸びた枝に、初夏(6月~7月頃)に実をつけます。

そして、実をつけ終わった枝は、その年の冬までに自然と枯れていきます。

このため、剪定は2回行います。

  1. 夏季剪定: 収穫が終わった枝(茶色く枯れ始めている枝)を、夏のうちに地際から切り落とします。これにより、株元から新しく伸びてくる来年のためのシュートに養分と日光が集中します。
  2. 冬季剪定(12月~2月): 夏の間に伸びた新しいシュートが込み合っている場合、元気の良い枝を1株あたり数本残して、細い枝や弱い枝を間引きます。

二季なり性の剪定

二季なり性の品種は、少し複雑です。

春から伸びた新しい枝の先端に、まず秋(9月~11月頃)に実をつけます。

そして、その同じ枝が冬を越し、翌年の初夏(6月~7月頃)に、秋に実がつかなかった部分に再び実をつけます。

剪定は、落葉期の冬(12月~2月)に行います。

  • 秋に実をつけた枝: 収穫が終わった先端部分だけを切り戻します。残した部分から来年の夏果がなります。
  • 夏に収穫が終わった枝: 2年間役割を終えた枝は、茶色く枯れているので、地際から切り落とします。
  • 全体の整理: 全体を見て、枯れている枝や、極端に細い枝、混み合っている枝を間引いて、風通しを良くします。
品種タイプ 主な剪定時期 剪定する枝 目的
一季なり性 夏(収穫後) 収穫が終わった枝 新しいシュートの成長促進
冬(落葉期) 込み合った新しいシュート 元気な枝を残し、株を整理
二季なり性 冬(落葉期) 夏に収穫が終わった古い枝 枯れ枝の除去
秋に収穫した枝の先端 来年の夏果のために枝を残す
込み合った枝全体 株の健康維持、風通し確保

植えてから何年で実がなりますか?

ラズベリーを植えて、いつになったら収穫できるのかは、誰もが気になる点です。

これも、育てている品種が「一季なり性」か「二季なり性」かによって異なります。

まず、年に2回収穫できる「二季なり性」の品種(例:インディアンサマー、サマーフェスティバルなど)の場合、非常に早く収穫を楽しめます。

春に苗を植え付けると、その年の秋には、新しく伸びた枝の先に実がつき始めます。

つまり、植え付けたその年から収穫が可能です。

一方、年に1回、初夏に収穫期を迎える「一季なり性」の品種(例:ファンタジーレッドなど)は、少し待つ必要があります。

一季なり性は、前年に伸びた枝に実をつける性質があるため、春に植え付けた場合、その年に伸びた枝はまだ実をつけません。

その枝が冬を越し、翌年の初夏になって初めて収穫期を迎えます。

したがって、本格的な収穫は植え付けから2年目ということになります。

すぐにでも収穫を体験してみたい初心者の方には、植えたその年から実がなる二季なり性の品種が、栽培のモチベーションを保ちやすく、特におすすめできるでしょう。

ラズベリーの育て方プランター栽培の要点

この記事で解説してきた、プランターでのラズベリーの育て方に関する重要なポイントを、以下に箇条書きでまとめます。

これらを実践することで、初心者の方でも失敗を減らし、美味しいラズベリーの収穫へと繋げることができます。

  • ラズベリーは病害虫に強く初心者でも育てやすい果樹
  • プランターは根詰まりを防ぐため8号(直径24cm)以上を選ぶ
  • 植え付けの最適期は休眠期の11月から2月
  • 健康な苗は枝が太くがっしりしているものを選ぶ
  • 地下茎で広がるため地植えは根止めなどの対策が必要
  • ブラックベリーの近くには植えない
  • 日当たりを好むが真夏の西日は避ける半日陰が理想
  • 土は市販の果樹用培養土か赤玉土と腐葉土の混合土
  • 水やりは土の表面が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷりと
  • 夏は水切れしやすいので朝夕2回の水やりが必要な場合もある
  • 支柱を立てることで風通しが良くなり病気を予防できる
  • 仕立て方はオベリスクなどを使い縦の空間を有効活用する
  • 剪定は品種(一季なり・二季なり)で方法が異なる
  • 一季なり性は収穫の終わった枝を夏に切る
  • 二季なり性は秋に実をつけた枝は来夏も実るので残す
  • 二季なり性の品種は植え付けたその年の秋から収穫可能
  • 一季なり性の収穫は植え付けの翌年から

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